「無二」発刊の意図 安藤 嘉晨 1963年

 関西大学体育会軟式庭球部も幾多の変遷を経て、又数多くの先輩を送り出して今日に至っている。が過去の栄誉に比べて、現在の当部は、戦績面に関しては決して満足出来るものではない。色々と原因を究明はしてみるものの、自信のある解答は未だに得られない。しかし入部当時から強く抱いていた疑問、先輩と後輩のつながりの余りにも弱いのはどうしたことか、という疑問を解決するべく企画したのが当部機関誌の発刊である。

先輩が社会人である以上、現役とOBの直接的なつながりが制限されるのは当然であろう。せめてこのような機関誌の中で、OBは現役の活動状況を知り、現役はOBの投稿を熟読することによって精神的支柱を形成し、理解を深めればお互いのプラスになるのではないか。更にこれらの縦のツナガリばかりでなく、異なった職場で働いておられる先輩方には、本誌を通じてお互いの消息を確認し合う。そして現役面では、部活動の最大目的に直進するまとまりを作る為に、互いの真意を確認し合うという横のツナガリをより強固にするという目的をもって企画したものである。

だが現役間の横のツナガリを強固にするのに、何故本誌の存在が必要であるかという疑問は残る。確かに現役面のまとまりなどは、お互いの話し合い、全員の討論によって育成すべきである。常にコートで顔を合わせている者同志が、その場で真意を吐露し得ないというのは情けないことであるが、四十人近くの人間の中では特に学年の異なる間では、それもある程度止むを得ないのではなかろうか。だから真意伝達の一つの場として、そして討論の機会への一つのきっかけとしての本誌の存在は有意義であると思う。

中略

先輩の後輩に与える影響は技術的アドバイスは勿論のこと、精神的援助の占めるものにははかりしれないものがある。先輩の一寸した体験談が後輩の精神的バックボーンとなって、試合その他の全ての機会に表れるように思われる。依頼心が強いと反発されるかもしれない。勿論独立独歩の精神を忘れてはならないだろう。

部員各自の努力だけでは、どうすることも出来ないという状態も起こりうるのではなかろうか。そのような場合、問題解決に先輩の門を叩きたいと思っても、先輩に接する機会も少なく、クラブ生活に物足りなさを感じてきたのである。もっとも最近では職務上時折先輩に接する機会を得、体験談をきかせてもらうことがある。役徳というのであろうか非常に有意義であると思う。このような機会を部員全員に与えたい。その一つの過程として本誌を仲介させ、始めは文通でもよい、とにかく先輩後輩のツナガリが密になればなる程、そのその部員自身の視野も広められて精神的バックボーンも形成され、自分の立場を自覚し、常に反省しながらも前向きの積極的な部員が誕生すると思われる。それら個々人の努力の結果がクラブ全体の戦力であり、実力であるとの考えの下に、何事にも積極的に参加し、意欲的な努力を惜しまない部員を育成するというのが本年度の運営方針である。この方針の一助の為にもOB会の結束をより密にし、その門戸を我々現役部員にも開いてほしいものである。以上のようなツナガリを深めてクラブの発展に共々努力するという他に、原稿を書くことによって部員にクラブの実体を熟考してもらう。編集参加によってもクラブの側面からの援助を部員各自に要請するという目的の下に本誌を企画したものである。とにかく本誌がクラブ発展の礎ともなるであろう先輩ー後輩のツナガリを密にするという第一目的を達成し得れば、発案者としてそれにすぎる喜びはない。より緊密なるキズナの育成の為に先輩の技術的、精神的そして経済的援助を切にお願い致します。

2017.03.12 アジアカップ国際ひろしま大会 ベスト8

谷口・飯田④-2内本・星野(早稲田大学A)

浅井・奥村0-④VS船水・植松(早稲田大学A)

池田・島津1-④安藤・松本(早稲田大学A)